2012年9月19日水曜日

とどけ鳥日報 2012年 9月 19日 (天気:曇り )

今日の空間線量0.27 μSV/h

食品・水・土壌の測定本日の受託件数本日の測定件数
16件13件

線量計(TERRA-P)本日の貸出数本日の返却数
0件0件

本日いただいたカンパ件数合計金額
2件2,000円

本日の支出支払い明細合計金額
電話料金4,788円

■スタッフより■

920日の新聞折り込みに放射能測定センターのチラシが入ります。

ぜひ、ご覧ください。

食品・飲料水・土壌の放射能測定をしています。お気軽に測定センターにお持ちください。

測定センターのことを知らない方がいらっしゃったら教えてあげてください。測定ボランティア一同お待ちしております。

 

<主な測定結果>

今日は13件の測定をしました。

23年度産の栗(南相馬産)1,373 Bq/kg、真野川の土手の土(34号線西)3,863 Bq/kg、南相馬市鹿島区のナス、インゲン、白菜(すべて露地栽培)はいずれも検出限界以下。

 

魚介類の測定結果まとめ919日まで)

※後日ブログにて、マップにしてもう少し見やすくして報告します。お待ちください。

 

川魚の平均  966.8 Bq/Kg(12検体)

海の魚の平均  39.6 Bq/Kg(4検体)

 

※川魚はなまずの1検体以外はうなぎの測定結果で検体数12件、海の魚はボラ・サヨリ・アジの3種の4件。種類・検体数とも少ないので正確な検証はできませんが、相双地域の河川の現状を伺うことができる結果です。

食品中の放射性物質の新基準
食品群
基準値(Bq/kg
飲料水
10
牛乳
50
一般食品
100
乳児用食品
50
放射性ストロンチウム、プルトニウム等を含めて基準値を設定
 
 

■相双地域の川魚の測定結果

食品基準の100Bq/kgを下回ったには、唯一相馬市の宇多川のウナギでした。

 

 
■南相馬市内の川魚(北から)

うなぎ(小泉川)
相馬市
149.5 Bq/kg
うなぎ(宇多川)
相馬市
84.3 Bq/kg
うなぎ(真野川)
南相馬市鹿島区
310.5 Bq/kg
なまず(武須川)
南相馬市原町区高平
504.7 Bq/kg
うなぎ(武須川)
南相馬市原町区高平
436.3 Bq/kg
うなぎ(太田川)
原町区高田
665.7 Bq/kg
うなぎ(牛川)
原町区太田
1,814 Bq/kg
うなぎ(鶴谷)
原町区鶴谷
5,450 Bq/kg
うなぎ(小高川北)
南相馬市小高区
319.1 Bq/kg
うなぎ(新田川 中流)
南相馬市原町区
917.9 Bq/kg
うなぎ(小高川本流)
南相馬市小高区
545.5 Bq/kg
うなぎ(小高川南)
南相馬市小高区
404.0 Bq/kg

※天然ウナギの食性
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

生きているものなんでも食べます。ヤマメ、イワナから、カニ、げんごろう、オタマジャクシ、どじょう、ハヤなど様々。時にはネズミやヘビまで食べてしまいます。要は自分の棲家の周りにくるもの。目の前を泳いだり、動いたりするものがあれば反射的に食べてしまうようです。下記の参考数値にあるモクズガニも食べます。

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
<参考数値>

ヤマメ+イワナ(飯舘村)6043 Bq/kg、モクズガニ(南相馬市小高区)540.7 Bq/kg

水草(武須川 原町区高平)2,820 Bq/kg、うなぎの骨(南相馬市小高区)510.3 Bq/kg

鮎(岐阜県 馬瀬川)1.00 Bq/kg(検出限界以下)

鮎(岐阜県 木曽川)0.00 Bq/kg

 













 

■相馬・南相馬沿岸の魚

海の魚4検体から食品基準の100Bq/kgを超えるものは出ませんでした。

ボラ
南相馬市小高区
77.7Bq/kg
サヨリ①(相馬港)
相馬市
29.5 Bq/kg
サヨリ②(相馬港)
相馬市
25.2 Bq/kg
アジ(相馬港)
相馬市
26.1Bq/kg

 

 

 

第13話 測定ボランティアなんて

 

(前回までのあらすじ)

201261日より新たに活動をスタートした「放射能測定センター・南相馬」。そこに集まった個性的すぎるボランティアたち。人生に血迷い中の3人の若者(他称)ボランティアと南相馬代表の地元ボランティアたちが繰り広げるドタバタ人間喜劇・悲劇? 3人の県外若者ボランティアは「南相馬市 川の放射能マップ」を完成・「南相馬市 山際・雑草調査マップ」を未完成させ、Mくんは今日も測定センターにやってきた。

 

<主な登場人物>

Mくん:検体採取に命をかけるボランティア特攻隊長。落ち着かない測定員。Level11

Kくん:恋人絶賛募集中のまだまださぼりぎみ?ムードメーカー。最年少ボランティア。測定員level9

BOSS:ドタバタ測定センターをまとめ上げることができる唯一の男。市民の方から絶大なる信頼を得ているこわもてボランティア。

ママさんボランティア:うっとおしいぐらい男だらけの測定センターを救う? 毎日来てください!

 

 

南相馬にやってきたMくん① 

 

ママさんボランティアのインタビュー返し!!

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(検体採取特攻隊長 Mくん)

 

Mくんが初めて南相馬を訪れたのは今年の412日。

震災から1年以上たってからでした。そして524日から測定センターのボランティアを始め、4ヶ月が経とうとしています。Mくんの唐突インタビューに真面目に答えてくれたママさんボランティアは、逆にMくんに聞きました。

 

ママさん:「いつまで南相馬にいるの?」

 

Mくん:「さあ?特に決めてないよ。とりあえず9月いっぱいはいるけどね。」

 

ママさん:「どうして測定センターのボランティアをはじめたの?」

 

Mくん:「他のボランティアより楽だから。夏は特に暑いし冷房が効いているから」

 

ママさん:「その理由だけ?」

 

ママさんボランティアの逆襲にひるんだMくん、

 

Mくん:「う~ん、どうなんだろう? 1日考えさせてッ!」と。

 

恥ずかしがり屋のMくんは翌日メールでママさんにインタビューの返事をしました。

 ↓

「オレは放射能に関わるボランティアがしたくて福島に来たんだけど、

なかなかそういうボランティアが見つからなくて…。結構探したよ。

たまたま南相馬の道の駅で「放射線量率マップ」を見つけ、マップをもらいに事務所に行ったのがきっかけかな?

 

最初はっきり言って測定ボランティアをしようとは思わなかったね。

「機械を使って測定するだけじゃ~ね」と感じたから。

でもとりあえず2週間ぐらいやってみよう!と。勉強にはなるかな~と思ったから。

“放射能”についてはほとんど何も知らなかったけど、

測定センターに来る人や他のボランティアの人、学習会を通して少しずつ分かってきたような…。

放射能のこと、南相馬の現状を。

 

ここでこそできた経験がたくさんある。

放射能の問題で苦しむ人たちの声や悩み、怒り。そういったことをたくさん聞くことができた。

実際の当事者ではない、県外から来たオレだけど、ほんの一部は感じ、知ることができたと思う。

 

「ただ測定して終わり」ではないことが測定センターの役割としてあることが分かった。

測定センターの運用を通じて、

・無知からでもいいからボランティア自身が学ぶこと、学んでいく過程が大切だっていうこと

・測定センターに来た人や地域の市民と共に学んでいこうと取り組んでいくこと

・測定センターで得た情報やネットワークの力を原発事故後のこれからの農や暮らしに活かしていくこと

・その手段として放射能測定を通じてのコミュニケーション以外に、学習会・DVD上映会・とどけ鳥文庫・ホームページがあること

 

ボランティアは南相馬市内の人、県外の人がいる。放射能について詳しい人、メチャメチャ詳しい人、断片的な知識はある人、オレのように詳しくない人、男の人、女の人、若い人、たまに来る人、いろいろです。いろんな人が関わることが大切だと思う。

 

いずれ南相馬から離れるけど、この測定センターのボランティアを通して経験し学んだこと。

それを踏まえて、放射能と向き合い、働くにせよ、食べるにせよ、暮らすにせよ、生きていくつもり。

そういうことをボランティアを通じて教えてくれるところ。

 

だからオレは「ラクなボランティア」とよく言われるけど、ここに来ることにこだわってきたんだ。

 

でも、どっちにしろオレはボランティアしにきたつもりはないから。」

 

メールを読んだママさんは思いました。

“私のボランティアしようと思ったきっかけと似ている”、と。

Mくんと私は置かれている状況や立場は全く違うのに…。言っていることは違うんだけど似ている。

“なんでだろう?”

そして、ママさんは少し理解できました。

Mくんがどうしてあんなに狂ったように検体採取に明け暮れていたのか。なんとなく。

 

「こんなにもたくさんの人が同じ思いをしている。」それは苦しいこと、悲しいこと、つらいこと、どうにもならないもどかしさ、怒りかもしれない。でもそこにこそ望みがあるような…、とまた別の地元のお母さんがMくんに言いました。

 

 

相変わらず彼ら3人の人生の血迷い度は変わりません。MくんをはじめKくん、Wさんの10年後はどうなっているのだろう?

ボランティアに来ているはずの3人は、まわりのみんなから心配されているのでした。とっても。

 

(つづく)

 


 

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